研究課題/領域番号 |
09470533
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
河口 てる子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50247300)
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研究分担者 |
坂本 成美 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助手 (20308290)
下村 裕子 慶応義塾看護短期大学, 看護学科, 講師 (20216138)
小林 貴子 千葉県立衛生短期大学, 看護学科, 講師 (50279618)
土屋 陽子 茨城県立医療大学, 保険医療学部, 助教授 (30125942)
安酸 史子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10254559)
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キーワード | 患者教育 / 行動変容 / とっかかり言動 / 自己決定 / セルフケア / 慢性疾患 / 共感 |
研究概要 |
本研究の目的は、患者の主体性、自己決定を尊重した民主的な患者教育方法の構築であるが、今年度は第2段階である慢性疾患患者の教育事例分析から教育に関する看護判断モデルを開発することである。 収集した患者教育事例約120例の結果を受けて、教育ニード、患者教育内容・方法とその効果についての検討を行った。また、患者教育担当看護婦50名に教育ニード、患者教育内容・方法についての面接(インタビュー)調査を行い、同時に収集事例患者の診療記録・看護記録の教育記録を収集した。分析には、1事例あたり7〜10名の研究者が担当し、debriefing techniqueを用いて分析した。 患者の行動変容に結びつくこととなった要素では、患者の治療に対する感情や意向の表出と看護婦の傾聴、共感的態度であった。教育方法では、患者自身にとって実現可能な方法の提示、または選択肢を提供した時に、自己効力(self-efficacy)を示すと思われる言動が現れ、行動変容が認められた。 看護判断の背景に関しては、看護婦には患者の達成目標に強固な枠(または偏見)があり、これを基準に「意欲がない」「やれる・やれない」を判断する傾向があった。患者の状況から判断すると高すぎる目標、達成不可能な目標であっても医学的に理想の状態を目標とすることを捨てられない看護婦が存在していた。つまり、看護婦自身の価値基準を患者に押し付けていることに気がついていない状態であった。これらには、患者の基準に照らし合せて考えてみるとか、患者の意識や行動に食い込んでいこうという発想の転換が必要であろう。患者の立場・価値基準に立って、お互いの目標をすり合わせするという教育が看護婦に必要かもしれないと考えられた。
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