野菜の品質を評価するための指標を確立することを目的とし、今年度は呈味成分の貯蔵による変化を検討した。先ず、モヤシを用い、呈味成分の抽出方法を探索した結果、80%エタノール抽出によって糖(グルコース、フルクトース、スクロース)、有機酸(リンゴ酸、クエン酸、シュセキ酸など)、遊離アミノ酸の測定が可能であることがわかった。これを用い、HPLCの条件を検討した。モヤシを4℃で14日間貯蔵し、これらの変化を測定した結果、アスパラギンをはじめとする遊離アミノ酸が減少した。9日目まで全糖量には変化がなかったが、各糖含量には変化が認められた。最も多く含まれていたリンゴ酸は、鮮度低下に伴い減少した。明らかに食用可能な期間(6日間)における、以上の呈味成分の変化はわずかであった。 ホウレンソウについては有機酸の中で特に多いシュウ酸をHPLCで測定することを試みたが、シュウ酸ピークとシステムピークが重なり、分離できなかった。そこでシュウ酸のみ酵素法で水抽出後測定した。ホウレンソウの糖は葉よりも茎に多く含まれ、貯蔵による変化はわずかであった。遊離アミノ酸も茎より葉に多く含まれ、グルタミン、アスパラギン、プロリンが多く、貯蔵によりやや増加する傾向にあった。有機酸は茎より葉に多く含まれ、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸が主要なものであった。貯蔵によるスクロースの減少、シュウ酸やリンゴ酸などの増加が品質低下の一因と考えられた。
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