活性酸素やフリーラジカルによる生体の酸化的障害はガンや老化など種々の疾患を引き起こす。また、食品中に存在する多様な抗酸化成分は活性酸素やフリーラジカルを消去し、これらの疾病を予防することが明らかになりつつある。本研究では、本研究室で開発した簡便かつ迅速なラジカル捕捉活性測定法「DPPH-HPLC法」を用いて、野菜中に存在する成分の持つ「活性酸素消去能」についてラジカル捕捉活性を指標に解析した。試料として、市販の野菜7種(キャベツ、ニンジン、ピ-マン、カボチャ、ジャガイモ、ホウレンソウ、チンゲンツァイ)を用い、ホモゲナイズ後、遠心上清についてDPPH-HPLC法でラジカル捕捉活性を測定するとともに、野菜に多く含まれる抗酸化性ビタミンであるビタミンC(アスコルビン酸)についてもヒドラジン-HPLC法で測定を行った。 その結果、市販の野菜7種のラジカル捕捉活性は、ピ-マン>ホウレンソウ>チンゲンツァイ>キャベツ>カボチャ≧ジャガイモ>>ニンジンの順であり、ニンジンにはわずかしか活性が見られなかった。ラジカル捕捉活性とビタミンC含量との関係については、両者の間に高い相関が見られたが、ビタミンC以外の成分についてもラジカル捕捉活性への寄与が認められた。また、有機肥料栽培と化学肥料栽培のキャベツについて比較したところ、その風味には大きな差が見られたものの、ラジカル捕捉活性およびビタミンC含量には有意な差は見られなかった。
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