本研究は、日本および世界の科学技術における「非核コンヴァージョン」の歴史的な進展経過と、そこに認められる特徴を総括的に把握するとともに、これからの日本および世界の「非核コンヴァージョン」促進政策の在り方について、検討を加えることを目的とする。本研究の期間は平成9年度から11年度までの3ヵ年である。平成10年度の主な研究成果は、次の3点である。 第1に、単著『原子力の社会史--その日本的展開』(朝日新聞社)の出版という形で、中間的な成果取りまとめを行うことができた。なおこの作品は、草創期から90年代末までの日本の核エネルギー開発利用の歴史を、世界の動きと関連づけて学問的立場から鳥瞰した作品として、前例のない作品であると自負している。 第2に、『通史:日本の科学技術・国際期・1980〜1995』(中山茂・後藤邦夫との共編著、学陽書房)の出版を実現した。この作品は、日本の科学技術における民生・民主転換の様相を多角的に描いた作品である。「非核コンヴァージョン」もその最重要テーマのひとつであり、とくに、軍事利用の史的分析に重点を置いた。 第3に、世界と日本の「非核コンヴァージョン」政策の動向と在り方に関する研究を深めた。その成果はすでに原子力政策円卓会議など、幾つかの場で発表しているが、来年度中にそれを集大成し、単行本としてまとめる予定である。
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