1ヶ月間にわたるレジスタンス運動トレーニングが骨代謝に及ぼす影響を調べた。ウエイトトレーニングに熟達した健康な若年成人男子10名を被検者とし、全身の筋肉と骨に刺激を与えるためにベンチプレス、バックプレスなど7種目からなるレジスタンス運動を各種目3セットづつ行わせ、その後の骨代謝マーカーの変動を1週間追跡した。トレーニングでの運動強度を1セット目には1RMの60%、2セットと3セット目には1RMの80%とした。なお、骨のカルシウム代謝を一定の状態にコントロールするために、カルシウムを補充した実験食(1日あたり2800kcal、カルシウム800mg)を運動負荷実験の1週間前より摂取した。また、トレーニングを負荷しない被検者7名を対照群とした。 骨形成マーカーである血中オステオカルシン濃度とアルカリフォスフアターゼ活性の上昇や骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリンとI型コラーゲンN末端テロペプチド排泄量の低下が1ヵ月以内に認められた。また体内へのカルシウム吸収と密接な関係を持つ活性型ビタミンDの血中濃度も1ヵ月目には上昇していた。 これらの結果は、レジスタンス運動トレーニング開始1ヵ月以内に、骨形成が促進され、骨吸収が抑制されると同時に、体内へのカルシウム吸収が促進されてていることを示唆している。これらの結果の一部を1998年12月の国際骨代謝学会において発表する予定である。
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