本研究は、幼稚園児・保育園児を対象として全国的な規模で運動能力検査(東教大式)を実施して幼児の運動発達の最近の傾向を明らかにし、幼児についても運動発達の低下が見られるかどうか検討するとともに、新しい全国標準値を作成することを目的に行われた。 1 全国的な規模で標準化してきた東京教育大学体育心理学研究室の運動能力テスト(5種目)と本研究において新たに作成した3種目に関して、これまでに作成してきているVTR教材を基礎に実施方法の説明できるVTR関係の教材を作成した。これまでの運動能力テストにおいては、測定の方法等について文章による説明のみであったため、測定者による差異(教示の仕方等)が生じる可能性があった。そこで、VTRを使用することにより、映像で具体的な測定方法についてのモデルを提示することができ、本研究のように全国にわたる多量な測定においてもより客観的で正確な測定結果を得ることが可能になった。 2 北海道から沖縄にいたる全国の幼稚園・保育所の中から、層化抽出法により、105か所の園を抽出した。これらの園で4・5・6歳児についてそれぞれ男児6724人、女児6463人合計13187人を対象として、東京教育大学体育心理学研究室の運動能力テスト(5種目)と本研究において新たに作成した3種目を追加して幼児の運動能力の調査を行った。と同時に同じ園に対して、幼児の遊びの実態ならびに園の環境調査等の調査を実施した。
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