研究概要 |
平成9年度に東京教育大学方式の幼児運動能力検査及び園環境、幼児の生活・行動調査を全国9ブロックにわたり、幼稚園73園(10,702名)、保育所35園(2,113名)に実施した. 実施した幼児運動能力検査は25m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、テニスボール投げ、両足連続跳び越し、体支持持続時間、捕球、往復走であり、テニスボール投げはソフトボール投げの代替種目として、往復走は25m走の代替種目として検討するためにとりあげた. 平成10年度はこれらの資料の統計的処理と分析を行うとともに、幼児の運動能力検査の実施条件についての実験を行った.結果は次の通りである. 1.幼児の運動力及び生活・行動の調査について. (1)幼児の運動能力の発達の傾向は分布、発達曲線ともに従来の研究(1986年1973年)の結果と同様の傾向を示した. (2)今回の幼児の運動能力の結果は全種目とも1986年の結果を有意に下回った.特に体支持持続時間の低下が顕著であった. (3)幼稚園と保育所との差は種目別、年齢別、性別で共通して有意な差はみられなかった. (4)以上の結果をもとに運動能力の判定基準を作成した. (5)園環境として園庭、園舎、教員数、運動的活動への配慮等を調査したが、何れも運動能力との関連は認められなっかた. (6)幼児の生活に関しては3世代家族、一戸建て住宅、外遊びを好む、リーダーシップをとる幼児の運動能力が高かった. 2.幼児の運動能力検査測定時の条件について. (1)測定時の応援は立ち幅跳びと両足連続跳び越しにおいて有意な効果が認められた. (2)競争相手が自分より強いか、あるいは同じくらいの相手のときに25m走では効果が認められた. (3)立ち幅跳び、ボール投げ、両足連続跳び越しでは練習効果が認められなかった.
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