研究課題/領域番号 |
09480019
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
熊谷 系知 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80153344)
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研究分担者 |
松本 博之 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70116979)
中里 亜夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60044343)
中山 修一 広島大学大学院, 国際協力研究科, 教授 (30084122)
梅原 弘光 立教大学, 文学部, 教授 (00160325)
西川 大二郎 法政大学, 第一教養部, 教授 (80061018)
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キーワード | 第三世界 / 地域研究 / 地誌 / 地域理解 / 地理教育 / フィールドワーク |
研究概要 |
今年度の研究会では、予定通り3回の研究合宿を実施し、主に次の2つのテーマをめぐって、報告・討論が行なわれた。第1に、日本の地理学者によるこれまでの第三世界研究と地誌記述についての批判的検討である。第2に、第三世界地域理解のための新たな方法論を構想していくための前提となる。研究分担者それぞれの地域研究についての最新の研究成果の報告とその枠組みの提示である。第1のテーマに関しては、1)第二次世界大戦後、日本地理学者によるフィールドワークを伴う本格的な地域研究の蓄積がなされながらもその成果が地理学研究あるいは地誌記述の方法論の革新には十分に結びついてこなかったこと、2)第三世界の調査研究の系譜を考える上で、戦前・戦中の植民地研究にまで遡った検討が必要であること、3)地誌と地理学者が、明治期以来の国家意識・国民意識の涵養という社会的要請とかかわりながら展開してきたこと、が確認された。また、第2のテーマに関しては、1)第三世界の国土および都市空間-社会の構造が、独立後の空間整備とともに、植民地支配のあり方の差異によっても大きく想定されていること、2)エスニック・カテゴリーやアイデンティティの重層性と流動性、さらにジェンダーによる差異化と差別化が、植民地時代、および独立後の政治・経済・社会的過程の中で作り出され、利用されてきたこと、3)現代の第三世界の地域研究あるいは地誌記述に際しては、グローバルな諸力の作用とともに、国家の政治権力とそれに対抗する主体としての民衆の日常生活の実践をいかに有機的に結びつけて描いていくかが課題となること、などが指摘された。 次年度には、研究成果報告書の執筆に向けて、各自が今年度の研究会で共有されるに至ったこれらの課題に焦点を当てながら、さらに具体的な議論を深めていく予定である。
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