研究概要 |
1.環境教育の国際的普及と教師教育に関する研究: (1)UNESCOのACEIDによる教師教育のための環境教育指導案として提示された9つのモジュールに関して,本学部・大学院の授業において試行授業を行い,分析・評価した。これらの結果,化学教育の立場からの修正案を提案した。 (2)アジア大平洋諸国における環境問題の認識と環境教育実践の現状に関するアンケート調査を行い,結果の集計と分析・評価を行っている。 2.学校教育現場での環境教育の実践的研究: (1)小学校において身近な自然と環境問題を取り扱う教材として,近隣の水質調査を行う場合の実際について検討した。この結果,教材として用いる分析手法の選択においては,児童の実験技術と科学的認識の程度を考慮すべきであることを指摘した。さらに,これらの学習活動においては教師による地域の水質に関する事前調査が不可欠であり,必要な調査項目を指摘した。 (2)小学校6年「水溶液の性質」の単元の発展的教材として酸性雨調査の活動を取り入れる場合の展開について,学校現場での教育実践により検討した。その結果,酸性・アルカリ性に関する「操作的定義」を随時発展的に展開していく必要性が認められた。 3.環境教育教材の基礎的研究: (1)酸化鉄の生成反応を例にして,その反応熱を測定する実験を開発し,金属のリサイクルの重要性を認識させる環境教育教材としての有効性を検討した。 (2)酸性雨のモデル実験を提案し,学校教育現場での演示実験として用いる場合の,実験方法の詳細を検討し,注意点を指摘した。 (3)学校現場における化学実験の実験廃液の処理法の検討を行い,これらの処理を生徒実験のテーマとして用いることを提案した。
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