研究課題
今年度は、3か年継続研究の初年度に当たり、理論研究と、開発研究、事例研究を展開した。まず、理論研究については、子どもの科学的思考力と判断力を捉える枠組みに関する本研究の理論的視座について、米国におけるこの領域の代表的研究者の一人であるジョージア大学のマイケル・パディア教授にレビューしていただいた。研究情報として、パディア氏が中心となってジョージア州で展開しているプロジェクト研究の成果である『数学と科学の学習のためのフレームワーク』を提供していただき、それを日本語訳したものを主体に、本研究の中間報告書(資料)として刊行した。同書では、子どもの科学的思考力と判断力を捉える際の新たな知見が多く含まれており、本研究の理論的発展に貢献した。次に、思考力・判断力の育成法・評価法の開発研究を、観察実験過程、探究活動過程、討論過程のそれぞれに関して進めた。また、実践的な立場からの事例研究については、小・中学校の10人余りの教諭を研究協力者として開始し、データを収集しつつある。これらの開発研究及び事例研究は、引き続き次年度も継続して行われ、データの収集とともに分析が行われるもので、現時点では成果を報告できない。また、研究代表者が展開してきた平成8〜9年度科学研究費補助金萌芽的研究『物理実験の思考過程でのメタ認知促進による生徒の推理判断力の開発に関する研究』の成果と、そこで達成できなかった課題について、本研究で有効に活用し発展させることを認め、その展開について検討を行った。