研究課題/領域番号 |
09480035
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
成田 滋 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 教授 (10172587)
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研究分担者 |
佐藤 正幸 国立特殊教育総合研究所, 聴覚言語障害教育研究部, 研究官 (50222021)
森広 浩一郎 兵庫教育大学, 情報処理センター, 講師 (40263412)
長瀬 久明 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (10127269)
松本 治雄 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (70000289)
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キーワード | 移動体画像通信 / 聴覚障害者 / 遠隔対面コミュニケーション / モバイル / デジタル画像 / 携帯電話 |
研究概要 |
本研究の目的は、聴覚障害者の遠隔コミュニケーションの問題を少しでも解消するために、個人用の情報端末機器と移動体通信機器をつないで、聴覚障害者が遠隔地において対面的なコミュニケーションができるような方法を開発することであった。 現在の聴覚障害者のコミュニケーションでは、互いに遠隔にいる場合は、ファックスなどでやりとりしている。また最近では、手書きの文字や絵を双方向で同時にやりとりできるが、家庭の電話回線からでは時間がかかり改善が求められている。 最近の移動体通信システムは、国内のどこにいても通話ができるようになり、場所や時間に限定されないという特徴がある。しかし、携帯電話は、音声の送受信が中心であるから難聴者や聾者には使えない。単方向通信として携帯ファックス、文字表示型「ポケットベル」、携帯用手書き電話などがある。また、双方向通信としてはパソコン通信があるが、文章力が弱い聴覚障害者や機器の操作に慣れていないや高齢者には向かない。しかし、携帯型個人情報機器は、デジタル化技術の恩恵により、情報を媒介として障害者と健常な人をつなぐコミュニケーションの媒体となりうる可能性を有している。 本研究によって得られた結果としては、携帯型情報機器と移動体通信機器の組み合わせが、聴覚障害者の遠隔における対面的な会話を可能にすることが判明したことである。市販されている個人用携帯情報端末は、どこからでも情報を送信できるが、受信できないという欠点がある。こうした欠点を補い、聴覚障害者やお年寄りに使いやすく、また、互いの顔を見ながら対話できるシステムの実現が実験によって可能であることが判明した。しかし、動画の画質、大きさ、一秒当たりのコマ数などで課題があることも判明し、鮮明な画像によるコミュニケーション手段としては、またまだ改良の余地がある。 本研究の知見としては、コミュニケーション障害者で聴覚に困難を示す人々が手話を中心とした映像データを伝送することによって、情報障害を克服できることがわかったことである。聴覚障害者が携帯型の個人用の情報機器とデジタル携帯電話を持って、移動する場所から全国のどこへでも手話映像をとおして会話することが可能である。
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