研究概要 |
本研究の目的は,エージェント技術を用いて,日本語教育のための柔軟な協調学習環境を構築することである.我々は,その学習対象として,作文教育を選び,ネットワークを通じて添削作業が可能な学習支援システムを構築した.また,仮想環境MOOを利用した協調学習環境における日本語教育を試みた. 学習者と教師が協調しながら行う添削作業を,コンピュータを用いて分散環境で可能とするシステムCoCoA(Communicative Correction Assisting System)を構築した.また,実験によりCoCoAの学習環境における添削に必要となる添削記号や支援機能を抽出した.その考察結果をもとに,添削文章の変換方式としてCCML(Communicative Correction Markup Language)を提案した.さらに,システムを試作し,評価実験を行い,CoCoAとCCMLの有効性を示した. また,本研究では,MOOを用いて構築された仮想環境及びそれを利用した協調学習とその実験的な評価を行った.MOOと呼ばれるマルチユーザシミュレーション環境は,複数の利用者が共有データベースにアクセスして,互いに話をしたり,共同でものを作ったりすることができる仮想空間として注目を集めている.我々は,仮想的な協調学習環境VirsicleとそのグラフィカルユーザインタフェースMooEr(MooExplorer)を構築した.この仮想学習環境は,バーチャルクラスルームとして試用し,試験を含むすべての授業,演習がそこで行われた.半年にわたる実験的な評価の結果,Virsicleは協調学習に適し,学習者の積極的な参加による学習効果の向上が期待できることがわかった. なお,本システムは,SUNワークステーション上にTcl/Tkを用いて構築しており、着実に研究成果をあげている.
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