研究概要 |
本研究の目標はTEMAX(Tempo Evaluation and Measurement Algorithm by KS)によるリズムの抽出,分析方法の改善と諸言語のリズムの抽出・記述・分析,およびその結果に基づいた日本語学習者のための日本語のリズム習得用プログラム開発である。TEMAXは本来北澤らが発話速度の自動測定方法として開発したものであるが,言語のリズム抽出にも応用できることが報告されている。本研究では,これを音声のリズム教育用ツールとして実用化することを目標にしている。 今年度はまず静岡大学での研究会(6月)において,研究分担者,協力者がTEMAXによる音声のリズム抽出法について学習した。2回目の東京外国語大学での研究会(12月)では,縮約型の使われる日本語発話中のリズムに関する研究中間報告,日本語学習者の母語である諸言語のうち,韓国語,スペイン語,フランス語のリズムに関する研究中間報告,および中国語諸方言を母語とする学習者の日本語リズムのTEMAXによる分析結果の報告,TEMAXグラムの読み方についての検討等を行った。 従来,強勢リズム言語,等時性リズム言語のように,リズムによって言語を2分する説があったが,これまでの中間報告では,各言語の自然発話において,少なくとも,2-3音節連続を韻律単位としたリズムと,文節またはアクセント句を韻律単位とするリズムとが存在しており,リズムが多重構造をなしていることが示唆されている。今後,さらに自然発話の分析を通し,各言語のリズム構造,リズムの単位について明らかにしていく計画である。
|