| 研究概要 |
本研究では、2分決定グラフ(BDD)に基づいた離散システム論の展開を行っている.本年度の研究では,2分決定グラフを分岐プログラムとしてみた場合の側面に関連して,AND/OR木の探索と文書圧縮での文脈木における2分決定木のような共有構造の検討についても研究を進めた.
初年度の研究においてあげた成果である絡み目のJones多項式の計算やネットワークの信頼性関数計算について,さらに計算システムの拡張を行った.具体的には,メモリの効率的活用と,BDD構造を構成しながら対象の問題の計算も同時に行うシステムの開発である.これにより,計算量的には♯P完全で難しいとされている問題でも,構造を活用して中規模な問題を解けることを実証した.たとえば,14×14の格子状のグラフのネットワーク信頼性関数を計算することが可能となった.また,この枠組みをさらに拡張することについても研究を進め,半順序のイデアルの数え上げが実用的にできるようにし,次のステップとして半順序の全順序化数の数え上げについて検討が進められるようになった。また,絡み目の結果が計算位相という新しい分野での土台となることを示して,計算位相幾何学のこれからの発展での計算システムとしても利用できるよう,結び目・絡み目の位相構造の特殊性を活用してシステムを改良中である.
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