研究概要 |
本研究では,2分決定グラフ(Binary Decision Diagram;BDDと略す)に基づいた離散システム論の展開を目指し,2分決定グラフを含むより一般的な分岐プログラム(Branching Program)のさらなる発展として量子版を検討し,量子計算での離散システム展開にも道筋をつけることを行っている. 本年度の研究では,信頼性関数計算についての従来結果を,社会基盤のライフラインとの関係を調査し,ライフラインの危機管理をテーマとした研究会における企画講演を通して,本研究で上げられている成果を広げる活動を行った. さらに,本年度は発展として2分決定木を特別な場合として含む分岐プログラムを,新たに量子計算の枠組みで,分岐プログラムと密接な関係にあるオートマトンのレベルで計算能力の解析を行い,かつ,量子計算において離散不変量計算との関係,特に結び目のJones多項式計算について検討した.前者については,さらに量子カウンタオートマトンまで拡張して,その言語受理能力についての解析に成功し,国際会議などでの成果発表を行った.さらに,BDDのレベルにおいて,量子と現在の計算モデルとの間の計算能力差を示すことにも成功し,これについては発表を予定している.これは,量子計算での位相をカウンタとしてBDDにおいて利用するものであり,BDDを土台とした量子回路理論構築への展開が期待できる.
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