ウェーハ積層構造型・超並列ネットワークに関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09480051
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 堀口 進 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (60143012)
• 研究分担者: 武田 利浩 山形大学, 工学部, 助手 (90236472) ; 井口 寧 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学センター, 助手 (90293406) ; 山森 一人 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (50293395)
• キーワード: 超並列ネットワーク / 超並列コンピュータ / ウェーハ積層構造 / 再帰シフトトーラス結合綱SRT / 自律再構成方式

研究概要

現在、最先端科学技術が要求するコンピュータ処理能力は巨大なものになり、テラ・フロップスの処理能力をもった超並列コンピュータが必要になり、その超並列ネットワーク構成法の研究の重要性が高まっている。WSI(Wafer Scale Integration)は、冗長化回路アーキテクチャを用いた欠陥箇所救済技術により高機能なシステムを大口径ウェーハ上に集積することが出来る。本研究代表者は、ウェーハ積層構造を考慮した階層化ネットワークとして、TESH(Triconnected mESHes)を提案した。TESHは、トーラスを用いて階層間の結線を行なっているため、ウェーハの枚数を増やしてもウェーハ間の最大結線数の増加が少ないという利点がある。
本研究では、格子結合を基本とする自律再構成方式を用いてウェーハ積層構造型・超並列ネットワークの構築方式について研究した。先ず、ウェーハ積層構造を用いて超並列ネットワークを実現する場合のウェーハ間結線数、結線面積やネットワーク特性に着目し、ウェーハ積層構造に適した超並列ネットワークとしてトーラスを用いた積層化ネットワークTESHのネットワーク特性について詳しい性能評価を行なった。TESHは、従来の2次元メッシュ結合や3次元メッシュ結合に比較して平均距離や直径は小さく、ハイパーキューブ結合に比べウェーハ間結線が少なくウェーハ積層構造に適していることを明らかにした。また、ウエーハ間結線をMicroBridgeで構成した場合のチップ面積(300μm x 300μm)が必要なことからウエーハ間結線が少ないネットワークの重要性を明確にした。更に、トーラスを再帰的にシフトして構成した再帰シフトトーラス結合網SRT(Shift Recusive Torus)を提案し、ウェーハ積層構造と自律再構成方式を構築しネットワーク性能について詳しく議論した。その結果、再帰シフトトーラス結合網は従来のネットワークに比べ同程度のネットワーク特性を有し、VLSIレイアウトが容易で、ルーティングが簡単であることを明かにした。

研究成果

• [文献書誌] 當山孝義、堀口進: "“並列多倍長GCDアルゴリズムとその性能評価"" 電子情報通信学会論文誌. Vol.J80-D-1,No.5,. 450-455 (1997)
• [文献書誌] Y.Inoguchi and S.Horiguchi,: "“Shifted Recursive Torus Interconnection for High Performance Computing"" Proc.of IEEE High Perforamce Computing in Asia,. 61-66 (1997)
• [文献書誌] 堀口進、大木孝之、V.Jain:"“ウェーハスタック型超並列コンピュータネットワークTESH"" 情報処理学会コンピュータアーキテクチャ研究会.vol.124 No.7. (1997)
• [文献書誌] V.K.Jain, T.Chirmai and S.Horiguchi,: "“TESH:A New Hierarchical Interconnection Network for Massively Parallel Computing"" IEICE Trans.Information and Systems,. Vol.E80-D,No.9,. 837-846 (1997)
• [文献書誌] 堀口進、大木孝之: "“3次元階層超並列コンピュータネットワーク"" 情報処理学会コンピュータアーキテクチャ研究会.vol.124 No.7. 37-42 (1997)
• [文献書誌] Y.Inoguchi, T.Matsuzawa and S.Horiguchi: "“SRT Interconnection Network on 3D Stacked Implementation by Considering Thermo-Radiation"" Proc.of IEEE International Conference on Innovative Systems in Silicon,. 41-51 (1997)