研究分担者 |
宮野 英次 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (10284548)
岩本 宙造 広島大学, 工学部, 助教授 (60274495)
荻野 博幸 京都大学, 工学研究科, 助手 (40144323)
安岡 孝一 京都大学, 大型計算機センター, 助教授 (20230211)
岡部 寿男 京都大学, 大型計算機センター, 助教授 (20204018)
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研究概要 |
複雑なデータ構造を持つ実世界の組合せ問題に対する効率的な解法を構築するという目的に沿って研究を行なった.本研究では,個々の問題を直接解くのではなく,一旦,和積形論理式の充足可能性問題(SAT)に変換し,SATに対する高速アルゴリズムを利用して元の問題を解くというアプローチをとる.本年度は,この方法がどの程度有効であるかを検証した.具体的問題として,大学の講義時間割を作成する問題を例にとり,この問題をSATに変換し,SATに対する高速アルゴリズムである局所探索法を使って解を得ることを試みた.入力例題には,九州大学情報工学科の講義データを基に作成したものを使用した. まず,上記例題をSATに変換し近似解を求めたところ,全項数300,000のうち不充足なものが15程度の,かなり精度の良い解が得られた.しかし,この解から作成された時間割は全く機能しないものであった.原因は,充足されなかった項のほとんどが極めて重要度の高いものであったためである.本問題を解決するために,本研究では部分SATと呼ばれる新しい問題を導入した.部分SATは,論理式f=f_A・f_Bが与えられ,f_Aの項を完全に充足し,f_Bの項をできるだけ充足する割当を求める問題である.時間割作成問題において,重要度の高い条件をf_Aの部分に指定することにより,部分SATの解から実行可能な時間割を得ることができる. 部分SATの模倣能力を議論したところ,幅広い最適化問題を模倣可能であることが分かった.すなわち,様々な最適化問題の解法に部分SATを利用できる可能性がある.ところが,このことは反面,部分SATの良い近似解を求めることが極めて困難であることを意味している.しかし,論理式中の項に適度な重みを付けることにより,局所探索法を用いてかなり満足のできる解が得られることを実験により明らかにした.
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