研究概要 |
本研究で得られた主な研究成果は以下の通りである。 【1】従来我々が個別に開発した並行型プログラムの従属関係解析、実行監視、実行履歴解析、デッドロック自動検出、などの静的・動的解析ツールを実用規模の並行型プログラムに適用できるように拡張するとともに、それらを開発支援環境の共通インタフェースにあわせるように改良した。【2】並行型プログラムの従属性モデルに基づいて並行型プログラムの静的スライシング技法とその支援ツールを開発した。【3】並行型プログラムにおける基本従属性を表現するプロセス従属ネットを異なるプログラミング言語で作成された対象プログラムの共通の中間表現として、開発支援環境の個々のツールの共通インタフェースを設計し実現した。【4】この中間表現を使用することにより、開発支援環境が対象とするプログラミング言語をc,Pascal,Occam2,Ada95にまで拡大した。【5】並行処理システムを計測すると、本来の処理ではない計測に関わる余分な処理によって、システム全体が予期した動きとは違った動きをしてしまうことがある。この問題に対処するために、全体性原理及び自己計測原理を考案し提案した。 Ada95はISO国際標準として最初に認められた、並行型オブジェクト指向言語である。Ada95では、文法/意味問い合わせインタフェイスをコンパイラに持たせることが提案されている。これはASISと呼ばれ、標準化されている。これについても以下の研究成果を得た。 【1】ASISを用いてAda95プログラムから定義使用ネットを生成する技法を提案し、開発中の統合的開発支援環境に取り込んだ。【2】ASISはAdaに特化されたインタフェイスであるが、意味問い合わせ機能は多くの手続型言語に共通することが分かった。そこで、統合環境がサポートする他言語について、ASISと同等なインタフェイスの設計を行った。
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