人工知能の研究においては、これまでに多くの要素技術を開発してきたからこれからはそれらを統合することを考えよう、という主張が、近年しばしばなされてきた。本研究は、それをさらに一歩進めて、人工知能の既存技術を統合するだけでなく、工学のあらゆる領域におけるシステム統合に役立つような、基盤技術としての人工知能システムの構築をめざしている。 特に、システム統合初期の段階における、人間のメンタルワールドとシステムの物理世界の間の橋渡しを行うためのシステムの構築と実験を行うことが、本研究の目的である。 そのために、発想支援システムと知識処理システムを結合したシステムを構築する。今年度は、そのうちの発想支援系を、本科研費により購入したワークステーション上に、構築した。 さらに、発想支援システムと知識処理システムの結合の方法を検討した。 また開発したシステムをシステム統合のために用いるための基礎実験として、次のような実験を行った。 ・システム要求者とシステム技術者が、統合するシステムに対する要求を話し合う。この時、要求の断片を逐次、発想支援系に入力する。 ・発想支援系は、入力された断片を2次元の空間に配置する。 ・時間軸に沿って、過去の入力を見直す。 この実験により、時間とともに見落としてしまっていた問題の再構成を、本研究で構築したシステムが支援できることを、確認した。
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