研究概要 |
本年度は,複雑な構造から実時間で規則性を抽出することのできる実用的な機械学習の方法を検討し,プロトタイプを試作した.並行して計算機ユーザの意図や癖を抽出するにはどのような情報が有効かを,ワークステーションを使用して得られる実データによって検討した. 1.複雑な構造から実時間で規則性を抽出する機械学習の方法の基礎として,代表研究者らが提案したグラフに基づく帰納推論手法の適用可能性を検討した.これは有向グラフで表現された構造を持つ知識の中から規則的に現れるパターンを抽出するものである.探索の際に用いるグラフのノードの選択基準として情報量基準を用いた尺度を提案し評価した.さらに,構成的帰納推論法の考えを取り入れることにより中間概念の帰納推論ができる可能性を検討した. 2.拡張されたグラフに基づく帰納推論法を単体の帰納推論システムして計算機に実装し,コマンド予測に適用し所期の性能が出ることを確認した. 3.ユーザの意図や癖を抽出するにはどのような情報が有効かを,ワークステーションを使用して得られる実データならびにシミュレーションデータを用いて検討した.とくに,ユーザの発行するコマンドに起因して計算機内部で生起する多数のプロセスやファイル入出力情報のうち予測精度向上に有効なもの,および,それらのどのような関係に着目すべきかを同定した.
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