研究概要 |
本年度は,前年度で検討した情報を実際に取り込み,プロトタイプシステムの性能評価検証実験を実施し,その結果を踏まえ,学習法を改良し,並行して使い勝手のいいインターフェイスを設計した.また核となる帰納推論法をより汎用性の高いものへと機能拡張した. 1. 前年度作成したグラフに基づく帰納推論システムを改良し,簡単なインターフェイス,結果表示部を追加しプロトタイプシステムを試作した.使用するオペレーティングシステムはUNIX(およびその互換)とした.インターフェイスはGUIとするが,UNIXのコマンド言語としての良さも取り込むようにした. 2. 試作したプロトタイプシステムで前年度検討したデータを取り込み,計算機ユーザの意図や癖がどの程度正しく学習可能であるかを定量的に評価した.過去のコマンド履歴やファイル入出力関係の履歴は3ステップあれば十分であることを人工データならびに実データで検証した.また,グラフに基づく帰納推論法に対して過剰適合を抑制するための枝刈り法を考案し,有効に働くことを検証した. 3. この経験を踏まえて,学習結果をどのように表現し,ユーザと計算機のインタラクションはどのようにすべきかを検討し,さらに操作性の良いインターフェイスを検討した. 4. 本研究の核となるグラフに基づく帰納推論法で扱えるグラフを各ノードで多入力多出力や内部ループ(自己ループを含む)を持つ有向グラフまで扱えるように拡張した.これにより,一般的なグラフ構造が扱えるようになり,この推論法がユーザモデルの同定以外にも適用可能な汎用的なものとなった.
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