研究概要 |
本研究では,仮想環境内に現実環境のすべてをモデリングするのではなく,現実環境をそのまま画像として取り組み,そこにマルチモーダルインタフェースにより生成・編集した仮想物体を融合し,融合した共有空間で協調作業を行う手法を提案し,この手法の実現のための要素技術の確立を目指した.主な研究成果は以下の通りである. 1.仮想自然環境における操作 仮想環境,特に樹木成長シュミレーションが可能な生成・編集基本システムの構築を図った.身振り,手振り,言語による操作者の意図理解可能な基本アルゴリズムを検討し,自然なインタフェースで主として樹木を対象としたドメインで仮想物体,仮想環境の生成・編集が可能なシステムの基礎を構築した.特に仮想世界の植物モデルの動的なデータ構造の変更・操作手法を検討した. 2.仮想環境内ナビゲーション手法 広大な仮想環境内で利用者に自身の位置/方向,全体の構造等を的確に認識させるために必須であるナビゲーションシステムとして新たに鳥瞰画像の提示手法を提案した.具体的には利用者の視点と鳥瞰カメラ視点を連動させる手法(座標系対連動法)により,利用者が直観的に鳥瞰画像を制御することを可能とした.また,鳥瞰画像の提示方向や大局的視野の操作手法(スクロール手法)について局面や目的に応じた比較検討とこれらを統合するシステムの提案を行った.さらに,広大な仮想環境を違和感なく表示するため,傾斜角度可変型ディスプレイの表示手法を検討した. 3.仮想自然環境の全周遠景の単純化 樹木など複雑な形状の物体を多く含む大規模自然環境を対象として,利用者の全周囲方向について遠景を,奥行き情報を考慮した単純な形状で近似する方法を提案した.これにより,実時間のウォークスルーを実現するだけでなく,ナビゲーションなど,相互に連動して移動する複数の視点にも対応することが可能となった.また,全周囲画像を取り込むことが可能なシステムから得られる実映像を用いることで,より現実感のある仮想環境を,実時間でウォークスルーことができるシステムを構築した.
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