研究課題/領域番号 |
09480080
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩本 誠一 九州大学, 経済学部, 教授 (90037284)
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研究分担者 |
川崎 英文 九州大学, 数理学研究科, 助教授 (90161306)
安田 正実 千葉大学, 理学部, 教授 (00041244)
中井 達 九州大学, 経済学部, 教授 (20145808)
時永 祥三 九州大学, 経済学部, 教授 (30124134)
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キーワード | 動的最適化 / ファジィシステム / 最適停止 / 不完備情報 / 複合評価 / 不確実性 / ポートフオリオ / 意思決定 |
研究概要 |
本研究初年の平成9年度では、単一評価系を中心に解析を行ってきたが、2年目の平成10年度では、主に複合評価問題の研究を行った。岩本は複合評価系として新しくマルコフ連鎖からの範囲、比、分散を取り上げ、不確実性下における最適行動の動的解析をおこなった。従来、評価系としては、加法型である「割引き総期待利得」とシステムの単位時間当たりのパーフォーマンス指標である「時間平均基準型」が研究されてきたが、これらの複合型基準の導入は不確実性下およびファジィ環境下における社会的効用基準の動的最適化の研究を広めることになり、新しい解析手法の導入を促進してきた。このような状況下で岩本は「不変埋没原理」が極めて重要なツールであると実例をもとに国内外で訴え、種々の動的最適化問題が理論的にも数値上も解けることを示してきた。これに対して極めて大きな反響があった。 時永は遺伝的アルゴリズムを用いて、最適化に基づく多段ファジィ推測システムをデザインし、さらに企業の格付けに適用してきた。また、中井は、部分観測可能なマルコフ連鎖の状態に関する情報を学習プロセスによってベイズ改定する環境下で動的決定モデルの最適構造を解析している。川崎は動的最適化問題を変分問題・最適制御問題として連続制約下での各種最適条件の導出に取り組み、状態に関する連続無限不等式制下での最適条件を導いている。また、安田は動的ファジィシ環境下でのシステムの最適停止条件を導いて、最適解の構造を明らかにし、最適停止時間を求めた。 これらの結果は、知識基盤知能システム、非線形とその応用、非線型凸解析、確率計画法などの国際会議、国内の各種研究集会、日本OR学会および日本数学会等で発表してきた。不確実性下およびファジィ環境下での複合型基準の動的最適化評価問題については資料や文献はほとんどなかったが、本年度の研究活動によって、世界的に知られるようになった。
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