研究概要 |
研究代表者および分担者らは,強風による倒木発生の機構を解明するため,森林キャノピーの風に対する抵抗係数の測定を行ってきた(松岡他,1996;出羽化,1998)。ここで得られた算出法は,森林内部の風速を用いなければ抵抗係数を算出できない。過去に様々な樹種の森林上で風速の観測が行われているが,そこで得られた結果には,主として粗度と地面修正量,樹高,葉面積指数といった森林の特徴量が記述されている。本研究では,それらの特徴量から抵抗係数を推定する方法を検討した。観測によって得られた抵抗係数と,森林の特徴量から計算した抵抗計数の推定値の関係を検討した結果,両者はほぼ一致した。 新たに提案した森林の,特徴量から得られた の値は理論上1.08であり,苫小牧,伊那,Bordenのデータから計算されたαの推定値は,順に,0.77,1.19,1.02あったので,その平均値0.99をαの値とした。この値を用いて,推定式で粗度を広葉樹0.6m,針葉樹1.7mと仮定し,代表的な森林の低抗係数を算出した。これらの値より,植生図などを用いて,地域の森林の抵抗係数分布図を作成することが可能である。
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