研究課題
基盤研究(B)
本研究では、災害が被災者の精神健康に及ぼす影響、トラウマと外傷後ストレス障害(PTSD)の関連性、被災者の心のケアに関するガイドラインなどを検討した。主要な結果は、以下に示す通りである。(1)北海道南西沖地震から6年2ヵ月後の被災者の精神健康状態についてGHQ28を用いて分析した結果、精神障害のおそれのある6点以上のハイリスク者は全対象者の54.6%であった。この結果は、「コミュニティ全体を崩壊させ、深刻な喪失体験をもたらす中心的災害は長期間にわたって被災者の有病率が高い」との仮説を支持していた。(2)トラウマは単回性トラウマと反復性トラウマに分類される。前者は大震災などに一度だけ巻き込まれたような体験を意味し、後者は身体的暴力などを繰り返し受けた体験を意味している。このトラウマの違いは、その後に発症する単純性PTSDや複雑性PTSDに関連していることを考察した。ただし、PTSDの診断基準(DSM-IV)には課題が残されており、基準の表現や関連障害との位置づけが不明確であることを指摘した。(3)被災者や支援活動をするスタッフに発症する可能性のあるPTSDを予防するためにはデブリーフィングの実施が有効であると言
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