研究分担者 |
横山 康二 京都大学, 防災研究所, 助手
中川 鮮 京都大学, 防災研究所, 助手 (70027259)
齊藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助手 (10225716)
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
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研究概要 |
本研究は,土壌凍結が地表物性の変化および加速侵食を通じて斜面の安定を低下させる実態を解明することと,土壌凍結に及ぼす諸種の環境条件の影響を解析することを目的にしている.3年間の研究期間の初年度に当たる本年度は野外観測に重点を置き,主として土壌凍結の実態解明をおこなった. 設備備品として,当初予定では室内実験用機器を購入することにしていたが,野外観測試験地で小規模な斜面崩壊が発生したことに伴って,野外観測のための測量機器および斜面変状をモニターするためのビデオ機器を購入した.室内実験としては予備的な土壌凍結実験および有限要素法による土壌クリープのシミュレーションをおこなうに留まった. 野外観測は住吉川水系に属する六甲山地南斜面の断層崖でおこなった.この斜面は兵庫県南部地震の際に崩壊したものであるが,観測準備中に豪雨によってその一部が再崩壊し,土壌凍結の影響を受けない風化花崗岩が露出した.そのため,現地観測はこの部分に集中することとし,観測位置の検討のために,新たに購入した超小型のGPS測位器(D-GPS方式のカ-ナビゲーション)により,微地形および斜面方位と露出度の調査をおこない,調査点スポットを決定した.さらに斜面モニター用ビデオ機器1セットを追加し,冬季観測をおこなった.その結果,新規に崩壊した南向き斜面では地表の凍結乾燥効果が著しく,その部分が変色し,少量の降雨で剥落することが見出された.一方,乾燥化が起こりにくい環境では,凍結による表面物性変化はほとんどないように見受けられる.
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