研究分担者 |
横山 康二 京都大学, 防災研究所, 助手
中川 鮮 京都大学, 防災研究所, 助手 (70027259)
齊藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助手 (10225716)
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
|
研究概要 |
昨年度に購入したGPS測位装置や現有の地上測量機器を用いて,六甲山地の崩壊斜面の微地形調査をおこない,土壌凍結の気象条件の異なるいくつかの崩壊裸地を現地調査の候補地として選定した.検討の結果,1996から斜面水文調査をおこなっている住吉川支流の西山谷上流の崩壊地が,気象条件の異なる斜面要素を多く含んでいることが判明したので,この崩壊斜面を実験斜面に選定した.ここでは既設の8mmインターバルビデオカメラ1台を用いて斜面の微地形変化をモニターしていたが,昨年度購入の1台を加えて2台のインターバルビデオカメラを用いて,斜面土壌の凍結・融解にともなう微地形変化のモニタリングに重点を置いた10分インターバルの連続撮影をおこなった.さらに本年度購入の高解像度ディジタルスチルカメラを用いて,約1ヶ月間隔の間歇撮影ながら,斜面全体にわたる詳細な斜面状態と微地形変化のモニタリングをおこなった.さらに本年度購入の簡易地中温度計測システムを用いて要所の深さ別地中温度分布を10分間隔で自動計測した.これらのデータは現在鋭意解析中であるが,現在までに得られた知見は次の通りである.この斜面での冬季の気温は昼間は0℃よりも高く,夜間はおおむね0℃よりも低い.そのため,すべての斜面部位でほとんど毎日地表面の凍結・融解が起こる.地表温度の振幅は斜面方位や傾斜角によってかなり変動する.冬季は土壌水分は少なく,霜柱やアイスレンズの形成は見られない.映像記録では凍結による表面性状の変化は認められないが,凍結・融解を繰り返すと融解時の土壌表面が白っぽくなり,土壌粒子相互の結合が弱くなっている様子が窺える.鉛直に近い崖面ではそれと同時に表面土壌の剥落が起こるが,多くの斜面ではその後の降雨によって初めて表面侵食が起こるようである.
|