研究概要 |
本研究では,兵庫県南部地震の影響で裸地化した六甲山地の斜面で現地観測をおこなった.3年間の研究期間のうち,最初の1年(1997年度)は田上山地および比良山地の山腹斜面の安定に関わる土壌凍結の影響を,既存データに基づいて解析しつつ,六甲山地における現地観測計画を練り,現地調査と観測機器を設営するのに費やした.きちんとしたデータが取れたのは1998年度と1999年度である.しかし,現地の都合で,1999年度から観測斜面を変更したことと,土壌凍結が見られるのは厳冬季に限られるため,観測データの解析に十分な時間がとれず,研究論文の形を取った報告は未だ完成していない.そのため,研究期間を通じて行った,田上山地,比良山地,および六甲山地における,土壌凍結およびその他の要因の結果として起こった斜面の不安定化に関する研究成果を中心に研究成果報告書を取りまとめた.本研究による総括的な研究成果は下記の通りである. 平成9年度は現地観測の準備,実施,およびデータ解析を行った。平成10年度には,それに加えて,これまでに滋賀県田上山地および比良山地でおこなっていた水文地形学的研究の中で,観測データの分析が不十分であった土壌の凍結・融解が斜面安定に及ぼす影響について,見直し作業をおこない,平成10年6月におこなわれた陸水物理研究会の田上山地現地巡検の際のガイドブックの一部として成果発表した。平成11年度には,兵庫県南部地震による斜面崩壊について,本研究での現地観測を含めて,土壌凍結や植生が斜面崩壊に及ぼした影響について分析し,学会誌に論文発表した。
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