研究概要 |
本年度は,昨年度の成果を基礎に (1) イメージングプレート(IP)を用いた高速中性子イメージ取得における最適パラメータの検討,と (2) 実時間型イメージイングのための中性子二次元位置敏感型カウンターの設計と試作 を行い,以下の成果を得た。 (1) 昨年度見通しを得たIPとポリエチレンを組み合わせたイメージング手法の最適パラメータを見出すために,1)フェーデング特性,2)最適なコンバータ厚さ,3)位置分解能,4)ダイナッミックレンジ,を実験,計算両面から調べた。 (2) その結果,15-5MeV中性子に対しては1)測定は照射後1時間以後に行う,2)コンバータ厚さは陽子の飛程程度とするのが最適であること,3)1mm以下の位置分解能が可能であること,4)高速中性子環境についてもIPのダイナッミクレンジは十分大きいことを明らかにし,いくつかの物体に対して高速中性子ラジオグラフィが可能なことを示した。ただし,1-2MeV程度の中性子に対しては感度が低く,保護層の無いIPを用いてある程度の改善は可能であるがまだ実用的なレベルではないことが明らかになった。 (3) 実時間型イメージング用を得るための二次元位置敏感型カウンターの設計検討を行い,ドリフトチェンバー型と電荷分割型の二つの手法を組み合わせたタイプを選定した。 (4) それぞれの手法について,まず単体での動作特性を確認し,その後二次元に組み合わせた性能試験をα線源及び〜1MeV中性子を用いて行った。その結果,位置及びエネルギーの分解能についてはさらに改善の必要があるが,この手法で二次元イメージングが可能なことを実証した。又,粒子のエネルギーを選別することによって,高速中性子で問題となる散乱による像のボケを大幅に軽減できることを明らかにした。これはカウンター法の大きな特徴である。 (5) IP及びカウンターによるデータを解析して画像化するための解析ソフトを整備し,柔軟な画像解析が可能となった。
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