研究概要 |
最終年度の本年は,主として昨年までの研究で課題として残っていた1)イメージングプレートとポリエチレンコンバータを用いたイメージング手法(IP-CH2法)における像の歪みとコントラストの改善,2)二次元位置敏感型カウンターの特性向上のための検討,を行い,以下のような結果を得た。 1.1)に関してその原因を明らかにするための実験を行い,a)像の歪みは中性子強度の不均一による部分もあるが,主としてコンバータの支持台及び被分析試料中で散乱された中性子によるものであること,支持台を中性子ビームからはずしかつ試料をIPから遠ざけることによって,歪みを大幅に改善できること,を明らかにした。B)コントラストの低下は主としてγ線バックグラウンドによって生じ,IPを取り除くとγ線バックグラウンド自体にわずかながらも変化が生じ,厳密には除去しきれない成分が残り,コントラストにかなりの悪影響を及ぼすこと,従ってその改善にはγ線バックグラウンド自体を低減する必要があるこどなどが分かった。そのため,γ線バックグラウンドの少ないコリメーター,遮蔽体材(CH_2)を用いることによって画質の改善を図れることも見出した。 2.2)に関しては,1)の結果からγ線事象をも除去できる波高分析型カウンターの有効性が改めて確認されたが,位置分解能の向上にはカウンター内での粒子の飛程を小さくすることも必要であるので,最近性能向上の著しい位置敏感型光電子増倍管とシンチレータの組み合わせを採用する案を検討し,具体的な設計を行った。今後,この型を製作して特性測定,応用を行う予定である。 以上によって,高速中性子プロファイルをIP-CH2及び二次元カウンターによって測定する手法を確立し,応用可能な段階となった。
|