「受動安全」の原理を大幅に取り入れた、自然循環力で冷却材が循環するSBWRにおける流動安定性を調べるために、昨年度に引き続き実験ならびに解析研究を進めた。特に、本年度は昨年度までに用いた装置を改造し実験を行った。これは1+3次元体系において、3次元チムニー部が自然循環流量に大きく影響を与え、これがSBWRの体積、すなわちその経済性や安全性に決定的役割を果たすと考えられるためにチムニー部の高さをパラメータとする実験が必要であるためである。 実験装置は3本の加熱管を含む並列3流路+3次元チムニー系(1+3次元体系)であるが、ある程度予想した通り、チムニー部が共通であればその高さが変化しても自然循環流量は殆ど変わらないことが確かめられた。すなわち、チムニー空間において3次元的セルが発生し、これが加熱チャンネルから排出された蒸気泡の、チムニー部を上昇する過程における静圧力の形成(すなわち自然循環力の発生)を阻害していることことを意味していると考えられる。さらに、チムニー部におけるボイドの流動挙動、自然循環流量や各流路間の位相関係、チムニー部の高さの影響などに関する知見を得ることかできた。 また、チムニー部における3次元的挙動の影響を調べるために、装置を2次元並列2流路体系に改造し実験を行った。これを解析と対比するために、新たに開発したドリフトモデルを用いて解析を行っているところであり、実験との良好な一致を見ている。 さらに、自然循環による冷却の際に特に重要な熱水力学的安定性について、核熱結合の解析モデル、ならびに解析コードを開発し解析を行った。
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