研究概要 |
平成9年度は高分解能スペクトロメーターによる入射イオンの荷電状態分布測定及び飛行時間法によるエネルギー損失測定系の準備及び試験を行った.並行して可視分光計測によるプラズマ標的の温度測定に関連した装置の開発,準備を行った. 1.7MVタンデム型静電加速器を用いてエネルギー225keV/u(=3.6MeV),ビーム電流1μA程度の^<16>O^<2+>イオンビームを発生させた.100MHz同軸共振器を用いたチョッパーによりこの直流ビームをパルス化した.このパルスビームはLiHレーザープラズマ標的を通過後,高分解能スペクトロメーターに入射し荷電状態毎に分析された.パルスビームはマイクロチャンネルプレートを用いた時間検出器により測定された.各パルスの到達時刻から入射イオンのエネルギー損失を導出した.この方法により,プラズマ標的中の荷電変換により生じた^<16>O^<5+>イオンに対し,等価常温質と比べて阻止能が数倍増大していることが確認され,本研究の方法によるエネルギー損失・荷電状態測定系が十分な時間分解能及びイオン強度測定精度を有していることが分かった. 一方,プラズマ電子温度の時間分解測定のために分光器とストリークカメラを用いた可視分光測定系を製作し,まず標準白色光源を用いてその絶対感度較正を行った.次に実際のプラズマ放出光を測定し,連続スペクトルの絶対分光放射強度を測定した.プラズマが光学的に薄いことを仮定し,この分光放射強度にKramers-Unsoldの式を適用し温度の評価を行った.結果として,プラズマが電離状態から再結合状態に遷移する途中では,色温度とほぼ等しい電子温度が得られることを確認できた.
|