研究課題/領域番号 |
09480113
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田瀬 則雄 筑波大学, 地球科学系, 教授 (40133011)
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研究分担者 |
嶋田 純 熊本大学, 理学部, 教授 (80206169)
田村 憲司 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (70211373)
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70092525)
杉田 文 千葉商科大学, 商経学部, 助教授 (40275962)
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キーワード | 土地利用 / 関東ローム / 土壌の理化学性 / 地下水 / 土壌水 / 硝酸イオン / 硫酸イオン / 茶畑 |
研究概要 |
本研究では、土壌層が地表での人為活動、特に農業活動に関し、どのくらいの時間メモリーを持っているのか、それは土壌層のどこに、物理化学的特性としてどのように蓄積されているのか、また土壌と地中水(土壌水+地下水)との相互作用、さらに最終的には地下水の水質への影響、水質形式での役割について明らかにすることを目的とした。研究対象地域としては、土(壌)層が厚く、地下水位が深く、土地利用、特に農業的利用が長く、厚いローム層に覆われた武蔵野台地北西部(金子台)を取り上げ、茶畑を中心とした土地利用と対照として神社(林)を比較検討した。金子台の地下水は最高で200mg/Lを越える硝酸イオン濃度を示し、長年の農業活動の影響を強く受けている。茶畑のローム層中には多量の硝酸イオンと硫酸イオンが蓄積されており、無施肥地区のそれぞれ10倍、2倍の量となっていた。硝酸イオンは下層にまで多量に蓄積していたが、硫酸イオンは表層4mまでであった。硫酸イオンは施肥の中止後も長く土壌中に保持された。トリチウム濃度の深度プロファイルから、土壌水の浸透速度は1.2m/年と推定された。酸素および水素の安定同位体比の深度プロファイルには、深度4mまでは周期的な変動がみられ、涵養時の濃度と蒸発の影響が保持されていると考えられ、浸透速度や涵養量の推定の可能性を示すことができた。観測された硝酸イオンの深度プロファイルは、ゼロ次反応による硝化および一次反応による脱窒を伴う移流拡散モデルにより再現することができた。
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