・土壌粒子の酸性ガス沈着実験 中国の砂漠土壌(黄砂)粒子およびけい藻士をアルカリ処理したモデル土壌を用いて円筒型流通式反応器によるSO_2沈着実験を行った。反応器入口と出口の濃度差からSO_2沈着量を求めると、沈着量およびSO_2沈着速度は土壌のアルカリ性が強くなるほど大きい値となり、SO_2の沈着速度は土壌面の性質が大きく寄与することが分かった。また別の反応器による沈着実験では、沈着フラックスはSO_2暴露濃度に比例し、沈着速度は濃度に関わらずー定であることが確認された。 ・液相中における黄砂粒子の光触媒効果に関する実験 黄砂粒子を懸濁させた系中に亜硫酸イオンを添加し、疑似太陽紫外光(超高圧水銀ランプ)による光照射下でS(IV)からS(VI)への不均一酸化反応を行い、液相中における黄砂粒子の光触媒効果を調査した。数種類の黄砂粒子を用いてそれぞれ実験を行ったが、光照射時では非照射時に比べS(IV)の酸化反応が促進され、また光触媒となり得るFeやTlの含有率の大きな試料ほどS(IV)の酸化速度定数が大きくなる傾向が見られ、黄砂粒子の光触媒効果が示唆された。 ・高感度酸性物質濃縮測定法の開発 人工肺は優れたガス交換能をもつことから、SO_2を対象物質として空気ルートに実験(SO_2)ガス、血液ルートにSO_2捕集液を流すことによる酸性ガスの捕集を試みた。SO_2の捕集効率は湿度や捕集液送液速度によらずガス流速に依存し、従来用いられていた拡散スクラバーよりも高い捕集効率であることが分かった。またいずれのガス流速でも物質収支はとれていた。この人工肺による捕集方法において、環境濃度レベルであっても大流量で大気を捕集すれば濃縮捕集が可能であり、人工肺による酸性ガスの高感度濃縮測定法が開発できるものと推定された。
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