研究課題/領域番号 |
09480119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
佐竹 研一 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (50101051)
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研究分担者 |
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
田中 敦 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (80171734)
伊藤 裕康 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (50223178)
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キーワード | 環境汚染 / タイムカプセル / 入皮 / 英国 / LCP-MS / 鉛 / 汚染 / 有鉛ガソリン |
研究概要 |
本研究の重要な目的の一つは環境汚染のタイムカプセル樹木入皮についてそれぞれ産業化および環境汚染の歴史の異なる国で必要な研究試料を入手し、その汚染の状況を調査することである。この目的で本年度は特に英国樹皮試料に注目し、サンプリングを行ない、ICP-MS分析計、およびイオンクロマトグラフを用いて予察的分析を行なった。 サンプリングを行なった場所は(1)ロンドン市内:ハイドパーク、ケンジントン、キングスクロス駅前、(2)シェフィールド:市中央公園、シェフィールド大学前、フォルテホテル庭、(3)ヨ-クシャー林業試験所試験地であり、サンプリングを行なった樹種はブナ(Fagus silvetica、シカモア(Acer pseudo platanus)等である。これらの外樹皮試料について共同研究を行なっているシェフィールド大学地球科学研究所分析化学センターにおいてテフロン分解容器を用いて分解し、さらにICP-MSを用いて鉛を分析した結果、その汚染レベルはこれまで各国で報告されている樹皮汚染の最高値(約300ppm)に匹敵し、特に交通量の多い場所で高い値を示したが、より汚染の少ないと考えられる林業試験所試験値においてもその値は100ppmに近く英国の著しい鉛汚染を示していた。採取試料は現在の汚染を反映しているものであるので著しい鉛汚染が現在も進行していることを示し、その原因としては英国で依然として大量に使用されている有鉛ガソリンによる汚染が考えられる。このようにロンドンおよびシェフィールドにおける鉛汚染が深刻であることが明らかになったので今後はさらにイングランド、スコットランド、アイルランド等からも樹木外樹皮試料および入皮試料を入手し、鉛汚染などの空間分布並びに時系列変化を明らかにして行く予定である。
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