研究課題/領域番号 |
09480119
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
佐竹 研一 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (50101051)
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研究分担者 |
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
田中 敦 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (80171734)
伊藤 裕康 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (50223178)
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キーワード | 室生寺 / 外樹皮 / 入皮 / ICP-MS / 環境汚染 / 鉛 / 水銀 |
研究概要 |
奈良県の室生寺は今年10月台風のため杉の大木が倒れ、有名な室生寺五重塔が被害を受けた。この時倒れた杉は樹齢160年のものと約400年のものを含め多数にのぼるが、私達は室生寺の好意で入皮による環境汚染の時系列変化の研究のため、これらの杉のサンプリングを行うことができた。この杉には例えば70年前の外樹皮および140年前の外樹皮を含む入皮が存在していたが、これをレーザーアブレーションICP-MS(プラズマ発光分析質量分析計)を用いて、特に鉛及び水銀について分析した結果は奈良県室生寺の環境汚染の歴史を明確に物語っていた。すなわち、140年前の鉛及び水銀の汚染レベルをそれぞれ1とすると、70年前の汚染レベルは140年前と変わらず、1と1であるが、これに対して現在の外樹皮は鉛については40,水銀については4を示していたのである。この分析結果は入皮を試料として用いる過去の汚染を調べる手法と、多元素同時微量元素分析法として最近急速に発展しつつあるレーザーアブレーションICP-MS法の組み合わせの有効性を明確に示したといえる。なお、上記の結果については1999年7月にオーストリアで開催される国際微量元素生物地球化学学会"5^<th> International Conference on theBiogeochemistry of Trace Elements"(July 11-15,1999)で発表する予定である。
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