研究課題/領域番号 |
09480119
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
佐竹 研一 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (50101051)
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研究分担者 |
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
田中 敦 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (80171734)
伊藤 裕康 国立環境研究所, 化学環境部, 主任研究員 (50223178)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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キーワード | 樹木入皮 / レーザーアブレーションプラズマ発光分光質量分析法 / SRM981 / 鉛汚染 / 環境汚染のタイムカプセルの森 |
研究概要 |
樹木入皮に含まれる汚染元素を分析する上でレーザーアブレーションプラズマ発光分光質量分析法は極めて有効な分析手法であり、これによって200μmの線分析が可能であり、この線分析によって樹木外樹皮-内樹皮-形成層-辺材部と直線状に並ぶ樹木組織の生元素、ならびに汚染元素の分析が出来、元素の分布とその役割も明瞭になる。しかし、この分析手法の持つ一つの問題点はその定量性にあり、単に相対的な変化を述べるだけでなく、より定量的に単位面積中に、あるいは単位体積中に存在する元素の量を知るためには、マトリックスの近似している外部標準試料を用いて比較する必要がある。このため、まず樹皮試料を二つ用意し、一方を湿式分解して含まれる元素量を求め、一方をLA-ICP-MSで分析して両者を比較し、また、濃度既知のセルロースペレット(SRM891)を作成してLA-ICP-MSで分析して値を比較した。その結果、SRM981の保証値の比から計算される補正係数を用いて定量的測定が可能であることを明らかにした。また更に、様々なマトリックス(有機物組成)をもつ試料に対して、そのマトリックスをより均一にする手法として炭化法を検討した。 これらの検討を進める一方、昨年に引き続き室生寺の杉の入皮試料について、鉛の安定同位体比(208Pb/206Pbならびに207Pb/206Pb)を測定した結果、現在と70年前の試料ではその比が異なること、つまり、現在大量に輸入され使用されている鉛が、国内の鉛汚染に大きな影響を与えていることが示唆された。この他、国内においてはバックグラウンド地点としての北海道大学中川演習林と協力し、北緯44゜44'44"の地点の環境汚染のタイムカプセルの森において、未来に至る汚染の樹木による記録(手法)確立のため植樹を行なった。
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