研究課題/領域番号 |
09480120
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岡崎 正規 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (00092479)
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研究分担者 |
山田 和人 パシフィックコンサルタンツ, 環境部, 研究員
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キーワード | 硫黄 / 窒素 / 水素 / 森林生態系 / モニタリング / 酸性化 / 緩衝 / シミュレーション |
研究概要 |
八王子および木更津のヒノキ・スギ・コナラ・アカマツ林小流域におけるモニタリング研究に基づいた物質収支研究から、小流域の酸性化が進行していることを明らかににすることができた。とくに、八王子のアカマツ林では、陽イオンではカルシウムおよびマグネシウムが、陰イオンでは、硫酸イオンが流失し、流域全体の酸性化が明瞭であった。 これらモニタリング研究と同時に、東京都西部の森林生態系における酸性沈着に対する臨界負荷量(一つ以上の汚染物質に暴露されたとき、現在の知識の範囲内では特定の感受性を持つ環境要素に重大な有害効果が現れてこないとみられる最大の負荷量)を設定するために、定常物質収支モデルを適用した。東京都西部の山地帯における酸性沈着の臨界負荷量と現在の酸性沈着量との差から超過負荷量を求めた。 硫黄の臨界負荷量は、窒素の臨界負荷量よりも小さく、東京都西部のほとんどの地域で超過負荷を示した。大気中で大気汚染物質から生成する酸性沈着を削減しなければ、将来、森林生態系に何らかの影響が現れるとみられるため、1997年の酸性沈着量を1/2にまで削減したシナリオ(シナリオ1)と1/4にまで削減したシナリオ(シナリオ2)を適用して、その酸性沈着の影響を推測した。その結果、酸性沈着量を1/2に削減しても、硫黄の超過負荷は変わりなく、さらに1/4にまで削減すると東京都西部のほとんどの地域で超過負荷はみられなくなった。したがって、東京都西部地域の森林生態系を維持するためには、少なくとも1997年の酸性沈着量の1/4にまで削減する必要があると結論した。
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