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1997 年度 実績報告書

人為起源物質による深海生態系の汚染と影響に関する比較生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09480124
研究機関愛媛大学

研究代表者

田辺 信介  愛媛大学, 農学部, 教授 (60116952)

研究分担者 脇本 忠明  愛媛大学, 農学部, 教授 (30036321)
キーワード深海生物 / 有機塩素化合物 / 有機スズ化合物 / 駿河湾 / 人為起源化学物質
研究概要

駿河湾で採取した沿岸性の深海生物を供試して人為起源化学物質の化学分析を実施し、以下のような研究成果を得た。
1)深海生物に適した有害物質の化学分析システムを構築した。すなわち、有機塩素化合物は、ソックスレ-抽出、脱脂、フロリシル分画、GC-ECDによる定量の行程を、また有機スズ化合物は、ホモジネート抽出、プロピル化、クリーンアップ、GC-FPDによる定量の行程を試験し、良好な精度、感度、再現性を得た。
2)有機塩素化合物の体内分布を検討したところ、その大半は脂肪組織荷残留していた。一方、有機スズ化合物は肝臓/肝膵臓の濃度が高く、グルタチオンのような含イオウタンパクとの結合が示唆された。
3)分析に供した全ての生物から有機塩素化合物および有機スズ化合物が検出された。とくにブチルスズ化合物の検出例はこれまでに報告例がなく、深海までこの種の有害物質による汚染が拡がっていることを世界で初めて明らかにできた。
4)深海魚と浅海魚の汚染を比較したところ、有機塩素化合物は類似の濃度を示したが、有機スズ化合物は浅海魚で高く、その汚染付加は今後さらに深海に及ぶものと推察された。
5)深海生物のブチルスズ化合物組成を調べたところ、代謝物の残留割合は小さく、親化合物のトリブチルスズが大半を占めた。このことは、深海生物の有機スズ分解能力が弱いことを示唆しており、その汚染の長期化と毒性影響が懸念された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Jong Su Lee: "Organochlorine residues in deep-sea organisms from Suruga Bay,Japan" Marine Pollution Bulletin. 14(4). 250-258 (1997)

  • [文献書誌] Shin Takahashi: "Contamination of deep-sea organisms from Suruga Bay,Japan by organochlorine and butyltin compounds" National Science Museum Monograph. 12. 319-336 (1997)

  • [文献書誌] Shin Takahashi: "Butyltin residues in deep-sea organisms collected from Suruga Bay,Japan" Environmental Science and Technology. 31(11). 3103-3109 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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