研究課題/領域番号 |
09480127
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
奥本 正昭 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50100186)
|
研究分担者 |
古田 雅一 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (40181458)
恵 恒雄 大阪府立大学, 先端科学研究所, 講師 (70090462)
森 展子 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (90100221)
|
キーワード | 放射線発がん / ヘテロ接合性の消失(LOH) / リンパ腫 / がん抑制遺伝子 / PCR / マイクロサテライトローカス・マーカー / 第12染色体 / ローカス |
研究概要 |
リンパ腫発生に関わる遺伝子を明らかにするため、放射線誘発リンパ腫のゲノムの変化を調べた。詳細な遺伝子座の解析を行うため、二組の交配マウス、(BALB/cHea x MSM/Ms)F_1と(BALB/cHeA x STS/A)F_1マウスを用いた。X線分割照射を行い、発生した胸腺リンパ腫についてPCRでヘテロ接合性の消失(LOH)を検索した。発がんに関わる遺伝子を同定するために、まず高頻度LOHが観察される領域を絞り込んだ。結果の概要は以下のとおりである。 1. 両F_1マウスのリンパ腫の第12番染色体において、著しく高い頻度LOHが観察された。D12Mit233(セントロメアから52センチモルガン:52cM)において68%(193例中132例)の非常に高い頻度のLOHが検出された 2. 近傍したローカス、D12Mit233とD12Mit53のいずれかにLOHを示すものは193例中141例、73%に達した。これらの両ローカス間に、放射線誘発リンパ腫発生に重要ながん抑制遺伝子の存在が予想されたが、既知遺伝子の中に候補遺伝子は見つからなかった。 3. 一方(BALB/cHeA x STS/A)F_1マウスの74例のリンパ腫において、第4番染色体(D4Mit31)では20例(27%)、第12番染色体(D12 Mit17)では42例(57%)、また第19番染色体(D19Mit11)では37例(50%)にLOHが検出され他の染色体と比べて著しく高かった。これらの領域はそれぞれ、ヒト染色体の9pと1p、14q32、10qに対応する。第4番染色体においてのみ、STS系統特異的アリルの消失が認められた。この領域に存在するがん抑制遺伝子の機能に系統差が存在し、発がん感受性差に関わっている事を示唆している。
|