1、ストレス応答遺伝子の1つとして我々は先にヒトHsp40遺伝子を単離した。Hsp40はバクテリアのDnaJの相同体であり、Hsp70と共同して分子シャペロンとして新生ポリペプチドの折りたたみや変性蛋白質の修復などを手助けする分子シャペロンとして機能している。酵母ではその全塩基配列から21個のDnaJ相同体が存在することがわかっているが、哺乳動物ではまだ8個しか同定されていない。そこで、GenBankデータベースで検索したところ、マウスESTクローンの中にDnaJ相同体が20個ほど登録されていた。これらの塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドプローブを作り、マウスcDNAライブラリーから7個の新しいDnaJ相同体のcDNAクローンを得た。これらはいずれも部分的な塩基配列であるので、今後full lengthのcDNAをクローニングする予定である。 2、ある蛋白質の機能を調べるためにはその蛋白質を条件的に高発現または発現抑制させる実験系が有効である。その1つにTet-on 遺伝子発現系がある。今年度は、Tet-onHeLa細胞に、哺乳動物のDnaJ相同体のひとつであるHSDJ cDNAを導入して、doxycycline添加でHSDJを高発現する細胞株を得た。HSDJの発現はdoxycycline濃度依存的であり、約3倍の誘導がみられた。今後この実験系を利用して、上で得られたDnaJ相同体の生体防御における機能を調べていく。
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