研究課題/領域番号 |
09480130
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 透 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (40118956)
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研究分担者 |
佐藤 秀明 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (60271996)
ダフ サイモン 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (50292298)
佐上 郁子 東北大学, 反応化学研究所, 講師 (10143033)
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キーワード | ハロエタン / チトクロムP450 / 環境汚染物質 / 環境ホルモン / 重子移動 / 脱ハロゲン化 / 遺伝子工学 / 薬物代謝 |
研究概要 |
ハロエタン、PCBなど化学発癌を引き起こす環境汚染物質を代謝、解毒するために、遺伝子工学的手法を用いて、薬物、毒物の代謝を司るネズミ肝臓P4501A2をパン酵母に発現させた。 P4501A2の野生型は酸素が少ない条件下でヘキサクロロエタンの脱塩素化を効率良く触媒した。主生成物は脱離反応でできたテトラクロロエチレンと置換反応でできたペンタクロロエタンであった。Vmax値は1.3min-1であり、これはNADPH酸化速度と同じであった。 P4501A2のヘム活性部位に存在すると推定され、P450すべてに良く保存されたThr319をAlaに変異した変異体が、ヘキサクロロエタンの脱塩素化をどう触媒するかを調べた。その結果、酸素が存在しない条件下での再構成系の実験では、ヘキサクロロエタンの脱塩素化のVmax値は12であり、野生型のそれに比較して9倍もの上昇が観測された。このThr319Ala変異は脱離反応生成物/置換反応生成物の比を5倍上昇させた。さらに、興味あることには、NADPH酸化速度は野生型に比較して2倍程度しか上昇していなく、反応に利用された電子が再利用されている可能性が示唆された。 P4501A2の野生型の反応速度は鎖状アルコールを添加することにより、22倍もの著しい上昇が観測された。又、生成物の構成比も著しく変化した。 これらの結果より、本系がハロエタンの脱塩素化に利用できる可能性が示唆された。
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