研究概要 |
果樹、茶畑のみならず野菜畑のような耕種地においても、土壌の硝酸態窒素汚染が.広く進行しているとみられる.これは扇状地の浅層地下水や農業用水では数mg-N/1〜20mg-N/1、台地の低地を流れる河川水では数mg-N/1の高い硝酸態窒素濃度が測定されることからわかる.このような硝酸態窒素汚染は、素堀による畜産糞尿の処理や標準施用量が厳密に守られない施肥方法等に起因している.標準量施用地と標準量の2倍施用地を比較すると、作物の吸収量は施肥量の増加で総じて多くなる傾向を示している.一方、脱窒素量は負荷量に比例して増加しているが、土壌残存量も負荷量に比例して増加している.15g-N/m2の負荷では、溶脱速度は土性、降水量に影響されるであろうが、略10cm/月とみられる.深度による硝酸態窒素濃度の変化は、表面から20cmの深さでは最大濃度は略30mg/1、40cmの深さでは略17mg/1〜23mg/1で、負荷量が多いほど濃度が高く、かつ高濃度の継続される位置の広がり、継続期間も長い.表面から60cmの深さでは硝酸態窒素濃度は数mg/1,80cmの深さでは略3mg/1以下であった. 円筒に充填して作成したモデル土壌に水分ポテンシャル計を設置し、深さ方向の水分ポテンシャル分布を測定し、水分飽和帯の位置変化を測定した.水分ポテンシャルと溶脱速度との関係は重要と考えられるが、これについては次年度の課題とする.なお、土壌改良剤として投入される木炭は、微生物及び水分の保持に有用とみられ、適切な位置及び脱窒効果について検討する.
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