1) ウンデカプレニルニリン酸合成酵素遺伝子のクローニングとZ型プレニル鎖延長酵素の保存配列の同定:Z型プレニル鎖延長酵素としては世界で初めての例として、Micrococcus luteus B-P26のウンデカプレニルニリン酸(UPP)合成酵素遺伝子のクローン化に成功し、大腸菌細胞内での大量産生系の構築、大量精製法の確立を行い、結晶化に成功した。データベース検索を進めた結果、Z型プレニル鎖延長酵素はE型プレニル鎖延長酵素とは全く異なる保存領域を持つ、進化的に独立した遺伝子ファミリーを形成していることが分かった。同じファミリーに属する酵母やヒトの2種類の遺伝子の同定を進めている。 2) ヘプタプレニルニリン酸合成酵素のヘテロサブユニット構造と触媒機能発現機構の解析:2つの解離性成分(IとII)の会合によって発現されるヘプタプレニルニリン酸(HepPP)合成酵素の動的な触媒機能の発現機構をゲルろ過法と2つの成分の抗体を用いた免疫ブロッティング法および光親和性基質アナログによる標識実験によって追究した。最初にアリル性基質の疎水性アルキル部分と成分Iが結合し、これがMg^<++>の存在下で成分IIと触媒機能を有する複合体を形成して酵素反応が開始され、HepPPが合成されると成分IとIIは解離することでターンオーバーを維持している動的な触媒機構が解明できた。 3) 遺伝子工学によるプレニルトランスフェラーゼの触媒部位の同定:ファルネシルニリン酸合成酵素(FPS)、HepPP合成酵素、およびUPP合成酵素の各遺伝子に部位特異的変異やランダム変異を導入して、触媒機能が欠失したり、大きな変化をきたした変異型酵素を産生するクローンを選別し、変異の原因を探ることにより、それぞれの酵素の触媒機能発現に直接関与しているアミノ酸残基を同定し、酵素の構造と触媒機能の相関を追究した。
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