細胞内小胞輸送に関与すると考えられる低分子量GTP結合タンパク質ADPリボシル化因子(ARF)およびダイナミン様GTP結合タンパク質(DVLP)について以下のことを明かにした。 1. 細胞内小胞輸送の過程が、SH修飾試薬の一種N-エチルマレイミド(NEM)により阻害されることを発見した。さらに、この原因が細胞質に由来する因子に起因すること、この細胞質因子が6種類存在するARF(ARF1〜ARF6)のうちのARF1であり、ARF1がNEMにより修飾されるために輸送小胞の形成が阻害されることを明かにした。 2. 蛍光抗体法により調べたところ、ARF6が、エフェクター分子の一種であるホスホリパーゼDとエンドソームやリソソームで共局在し、これらの細胞小器官の機能を調節する可能性を示唆した。 3. DVLPは生理的な塩濃度条件下では4量体を形成し、低塩濃度条件下ではさらに大きな集合体を形成することを明かにした。この現象はダイナミンにも見られることから、DVLPもダイナミンと同様に輸送小胞の形成に関与すると考えられた。また、酵母two-hybridシステムを用いて解析し、4量体を形成するためのドメイン間の相互作用を明かにした。
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