研究概要 |
GPIアンカー生合成経路の酵素群の本体と性質を明らかにすることを目的としている。GPIアンカー生合成の第1ステップに働く酵素に関し、ヒトのGPIlcDNAをクローニングしPIG-A,PIG-H,PIG-C,GPIlの4つのタンパク質の複合体が酵素の本質であることを証明した。さらに、in vitroの酵素反応系を確立し、特定のPIがGPIの生合成に用いられるらしいことを示した。また、第2ステップに働くPIG-Lタンパク質は、この酵素複合体に含まれていないことを示し、2つの酵素が分離できることを証明した。 GPIアンカーをタンパク質に付加するトランスアミダーゼの本体に関し、出芽酵母でこのステップに働く遺伝子としてクローニングされていたGPI8とGAA1のヒトホモログをクローニングした。この2つのタンパク質が複合体を作っていることを示した。GPI8はシステインプロテアーゼと相補性があることから、GPIシグナルペプチドの切断に働くサブユニットと推定されるがGAA1の機能はアミノ酸配列から推定することはできない。出芽酵母とヒトGAA1のキメラタンパク質を作り、2つの生物間でのシグナル配列の異なりを利用することにより、GAA1がGPIシグナル配列を認識するサブユニットであることを実験的に証明した。すなわち、C末側半分が酵母由来であるGAA1をGAA1欠損のマウス細胞に発現させると、その細胞のGPIシグナル配列認識パターンは酵母型になった。
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