研究概要 |
ニワトリBリンパ細胞由来のDT40株で、ジーンノックアウト法を駆使して、ヒストン遺伝子を欠失した変異株を系統的に作成し、その解析結果から各ヒストンバリアントの機能に関して次のような成果を得た。 1) 6種のH1バリアントのそれぞれを欠失したDT40変異株を作成した。全てのホモ変異株において、増殖速度、グローバルなクロマチン構造の変化は認められなかった。しかし、各Hlバリアントの欠失変異株の蛋白質を2D-PAGEで比較したところ、特定のバリアントの欠失に伴う特異的な泳動パターン変化が認められた。 2) 3種のH2Aバリアント中、クラスIIバリアントの欠失変異株を作成した。この変異株の増殖速度およびグローバルなクロマチン構造はそれぞれ野生株とほぼ同じであった。しかし、その全蛋白質の2D-PAGE泳動パターンには変化が認められた。クラスIIIバリアント欠失変異株を作成中である。 3) 4種のH2Bバリアント中、クラスIIIバリアントを欠失した変異株においても、増殖速度、グローバルなクロマチン構造の変化は認められなかったが、蛋白質の2D-PAGEパターンは変化していた。残りのクラスII,IVの欠失変異株を作成中である。これらの結果から、H1およびコアヒストンバリアントは、それぞれ固有の遺伝子発現制御機能を持つことが示唆された。 4) コアヒストンのアセチル化に関与する3種のヒストンデアセチラーゼのcDNA,genomic DNAをクローニングし、これらの欠失変異株を作成した。
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