研究概要 |
ニワトリBリンパ細胞由来のDT40株を用いて、種々のヒストンバリアントをコードする遺伝子を系統的にノックアウトして欠失変異株を作成した。さらに、アセチル化されたコアヒストンの脱アセチル化jを触媒するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の欠失変異株を作成した。これらの変異株の解析の結果、以下の成果を得た。 1)H1,H2A,H2B,H3,H4 の各ヒストンサブタイプの遺伝子群は幾つかの構成メンバーが欠失しても、同じサブタイプの残りの遺伝子の発現量が増大し、mRNA量を一定に保つ自己補償機能を有する。 2)細胞の生存には39個のヒストン遺伝子を含む約 110kb のクラスターの中で、約半分の遺伝子を含む半分の長さのクラスターで十分である。 3)細胞の生存には39個のヒストン遺伝子を含む約 110kb のクラスターの1つのアリルで十分である。 4)細胞の生存にはHI遺伝子は12コピーのうち1コピーで十分であること。 5)H1,H2A,H2B にはそれぞれ数種類のパリアントが存在する。これを単独で欠失した変異株の解析から、各バリアントは独自に特異的な転写制御機能を持つ可能性がある。 6)chHDAC-2はIgM H-cain量を転写とそのpre-mRNAの膜結合型から分泌型へのalternative processingの2つのステップで制御している。 7)chHDAC-3はDT40細胞の増殖に必須である。
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