TATAボックス結合因子TFIIDは、真核細胞転写開始反応及び転写調節因子による転写活性化機構において中心的な役割を演ずる因子である。このTFIID因子の転写開始及び転写調節反応における機能と構造の関係を明らかにし、またTFIIDと相互作用する新しいタイプの転写因子群を単離、解析する目的で平成7・8年度に引き続き、平成9・10年度にかけて研究を展開した。その結果、以下の成果を得ることができた。 1. 転写調節因子VP16によるTBP、CCG1との相互作用を介した転写活性化機構の解析 2. ヒトTAFII100をコードするcDNAの単離とサブユニット間相互作用の解析 3. TATAボックス結合因子TFIID内ヒストンオクタマー様構造モデルの提出 4. 精巣特異的な転写伸長因子S-IIの発生過程での発現解析 5. 分裂酵母TATAボックス結合因子TFIIDサブユニットの遺伝学的解析 6. HIV転写に関与する新しいタイプのクロマチン因子の単離と解析 7. WD40リピート構造を持つTFIIDサブユニットの機能解析 8. ヒストンアセチル化酵素とリジン特異性に関するルールのモデル提唱 9. HIVプロモーターGCボックス領域に結合する新しいDNA結合因子GBFの単離と機能解析 10. TFIID相互作用因子Tip60のリジン特異性の決定とモデルの検討 11. 分裂酵母TFIIHサブユニットの遺伝子の単離と解析
|