細胞内に一つまたは数個しか存在しないオルガネラは有糸分裂時に分解・小胞化し、分裂終期に小胞が融合して再形成される。ゴルジ体の形成にはNSFとVCPという2つのATPaseが関与していることが明らかとなっている。NSFはSNAPおよびSNAREと、VCPはp47およびsyntaxin5と複合体を形成して膜融合に関与する。本年度は酵母のtwo-hybrid法を用いてSNAPと相互作用する新規タンパク質を見い出した。種々の解析から、このタンパク質は酵母において核膜融合に関与することが知られているUfe1pの動物ホモログであることが判明した。酵母のUfe1pはCDC48p(酵母のVCP)と結合するので、現在、動物のUfe1pがVCPと結合するかどうか、また、核や小胞体の形成に関与しているかどうかを調べている。VCPと相互作用する新規タンパク質としてVAP(VCP-associated protein)も見い出したが、その機能は今のところ不明である。現在、VAPに対する抗体を作成し、その細胞内局在などを検討している。 我々は最近ゴルジ体の分解と形成が三量体GTP結合タンパク質のα-サブユニットによって調節されていることを見い出している。三量体GTP結合タンパク質のα-サブユニットには少なくとも19種類の分子種が存在するが、本年度の研究によってゴルジ体の構築に関与する分子種がα_<12>とα_zであることが明らかとなった。予備的な結果から、これらのタンパク質がGTPを結合している時にはゴルジ体の構造が保たれ、GDP型の時にはゴルジ体が分解することが示唆されたので、現在、これらのタンパク質のGTPase活性を活性化するタンパク質を細胞内に発現させ、ゴルジ体が分解するかどうかを調べている。
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